保護者、地域、学校、皆が子どもの将来、学びについてとても積極的であり、開かれた学校の姿がとてもうらやましいし、私の子どももこんな学校で学ばせたいと思った。
初等教育のあり方を問題提起する本おすすめ度
★★★★★
柳沢氏の著作には「はっ」とさせられることが多い。軽く読みやすい文体の裏に潜む深さを感じるのである。オーストラリアの小学校はずっと昔から週休二日制であり、(休暇は徹底して楽しむため)宿題も週末や長期休暇中には出ない.。暗記物よりも、思考過程や問題提起能力を養う授業内容。価値観の多様化と答えのない問題への解決能力養成。教員と保護者の対等な立場と適度な緊張感。オーストラリアの初等教育を受けた子供たちがどう成長していくのか明確に予想することが出来る。そして、それはまさに21世紀型社会人に必要な能力なのである。「ゆとり教育」が叫ばれている日本ではあるが、その「ゆとり」とは何であるのか?本書の教えてくれる内容は今の日本の直面している問題を考える上で極めて重要である。
本書を「軽い読み物」として楽しく可笑しく読むのも一つの方法であろう。しかしそこから一歩踏み込んで、初等教育のあり方、親と子と教師、地域社会の関係のあり方、教育の目的とそれを達成するための有効な手段(教育方法)を深く掘り下げて考えるための資料としての価値が本書には散りばめられている。教育関係者にとっては「軽い読み物」では済まされない必読の書であると思う。
日本の「ゆとり教育」に一石を投じる一冊おすすめ度
★★★★★
この本は移住のサスセス・ストーリーでもなければお涙頂戴の移住苦労話満載でもありません。オーストラリアや海外移住に興味がある人よりむしろ教育の現場に携わる(これから携わりたいと思う人も含め)人々や子育て中のお父さん、お母さんに読んでもらいたい1冊です。著者である柳沢氏のオーストラリア移住に伴って現地の小学校に入学させられた(?)子どもたちの奮闘ぶりやハプニング、エピソードが柳沢氏のウイットに富んだ文章で生き生きと書かれています。
長男の大河君が小学校に編入学した当日、クラスのみんなが日本語で「コンニチハ、タイガサン」と言うために前日の午後からクラスのみんなで練習をしたというエピソードには涙がじわ〜ん。褒めて伸ばし、Don'tを使わない先生たちには感服!。これら教育現場でのエピソードの数々は日本にいる私にとっては目からウロコが落ちることの連続、そしてうらやましくてため息。日本の言う「ゆとり教育」とは何ぞや?と考えさせられるます。
また、柳沢氏の前作「オーストラリアで暮らしてみたら。」を読んでからこの本を読むと柳沢家の人々、そして周りの人々がもっと良くわかり、自分が柳沢家の親戚にでもなったかのような気分でこの本も楽しく読めるのであわせて推薦します。
概要
「学校に遊園地がやってくる!?」「普通の小学校がインターナショナル・スクール」「毎日が保護者参観日」等々。陽気な国オーストラリアの小学校には、日本では想像もつかない授業やイベントがたくさんありました。いろいろなビックリを一緒に楽しんでください。
内容(「MARC」データベースより)
「学校に遊園地がやってくる!?」「毎日が保護者参観日」等々、陽気な国オーストラリアの小学校には、日本では想像もつかない授業やイベントがいっぱい。3人の子どもと共に体験した、オーストラリアの小学校での生活を描く。
著者 柳沢有紀夫 , 2003/04/28
元気でおもしろい学校教育
私たちがオーストラリアに移住した直後。長男の大河は英語がまったくわからないまま現地校の一年生に転入することになりました。その初登校の日。先生の指示で始業時間から30分遅れて教室に向かった大河と私たちが遭遇したもの。それは「コンニチハ、タイガサン!」と、ちょっと変わったイントネーションで子どもたちが唱和する日本語の挨拶でした。先生によると、前日の午後ずっとみんなで練習したのだそうです。 もちろん、一年生のカリキュラムの中に「日本語の挨拶」などありません。時間の無駄と考える人もいるかもしれません。でも遠くにあるジャパンという国からやってきた、目の色も髪の色も話している言葉も違う新しいトモダチを歓迎しようという気持ちに、私の目頭は熱くなりました。
この本では長男と、その半年後に小学校に入学した次男が元気に巻き起こす珍騒動と、日本とはまったく違うオーストラリアの小学校の様子と教育に対する考え方を、ありのまま書きました。子どもを持つすべてのお父様とお母様、そして先生方に読んでいただきたいと思っています。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
柳沢 有紀夫
1964年生まれ。慶応大学文学部卒。外資系広告代理店に12年間コピーライターとして勤務。1999年6月、妻と3人の子どもを連れてオーストラリアに移住。現在は書き人として各誌にエッセイやコラム、記事を寄稿。海外在住ライターの交流会である「海外書き人クラブ」の発起人及び世話人も務める。ブリスベン在住