アイヌの世界観への入り口おすすめ度
★★★★☆
筆者はアイヌ初の参議院議員ですが、ここではアイヌをとりまく外界の問題はさておいて、筆者の子供時代からの村での生活体験が描かれています。ごく日常的な光景が語られているのですが、その一つ一つにアイヌの人達の考え方が浮かび上がり、私達とはまったく違う世界が広がっていくようです。狩の獲物のくまは神が姿を変えて人間のために現れてくれたものであるとか、作った道具にも魂があり、使い古したら感謝の祈りを捧げて家の裏で自然に返す=朽ちるのを待つ、とか…。異なる文化を知るということは、また別の世界観をのぞくということなのだなあ、と実感しました。そう言う意味で、淡々としているけれども、刺激的な本でした。
概要
大自然と生き物を神とし友として生きてきたアイヌ民族。その四季のくらしとできごとの数々を、民族文化継承のために生涯をささげてきた著者が自らの体験をもとにつづる。
内容(「BOOK」データベースより)
大自然と動物、植物を神とし、友として生きてきたアイヌ民族。人びとは、食べ物やさまざまな生活用具の素材を自然が与えてくれた恵みとして受け取り、大切にしてきた。その生活誌を、言葉や風習、民具など民族文化の継承・保存に生涯を捧げてきた一人のアイヌが自らの体験に基づいてつづる。ふるさと二風谷の四季のくらしとできごとの中にアイヌの心が生き生きと浮かび上がる感動の歳時記。