地元紙が取り組んだ本だけに、その土地に対する愛情と郷愁がきちんと内在していてなかなかの佳作である。大きく考えてこの本には二通りの見方が出来る。ひとつは地理的なものの見方をした場合は良質な旅ガイドとして、もうひとつ歴史的な感覚で見た場合は、かの土地の栄枯盛衰を写・文に纏めたわかりやすい記録書という面を併せ持つ。この後者の要素がいい。この国のかつての高度経済成長を根底で支えた歴史が、ごく自然な形で気負いなく紹介されているところに好感が持てる。温泉でもなく牧場でもなくグルメでもないもうひとつの北海道の実際が、ちゃんとそこに紹介されている。不確かな時代、何らかの確かな事実を知りたいという欲求が起こった時、この本はうってつけだといえる。炭鉱というものを通して訴えかけてくるものは、大きい。
炭鉱が作ったマチ・空知おすすめ度
★★★★☆
2001年から2003年にわたって北海道新聞空知地方版に連載された「炭鉱遺産散歩」および「炭鉱再考」の記事を
修正・加筆したものを柱に編集されたもので、日本最大の石狩炭田がひろがる空知地方の炭鉱が残した「産業遺跡」が
鮮やかな写真と読みやすく詳細な文章によって収録されています。
資料的価値も高い一方、気軽に炭鉱遺産を見学することができるようにと、見学モデルコースや観光施設なども掲載されており、
空知地方観光のガイドブックとしても活用できます。
美しい廃墟の写真おすすめ度
★★★★☆
写真が美しいです。文章はもとが新聞記事なのでやや無味乾燥。なので★1つマイナスか。
ふつう廃墟の楽しみ方というと、もとが何であったかにあまりこだわらず鑑賞する、って感じですが、本書は村おこし的な目的も多分にあるので、廃墟一点一点の写真にもとが何か詳細なキャプションがついています。ある意味、考古学? タイトルも「遺産散歩」ですし、できたてほやほやの文明遺跡(石炭文明というのがかつてあって、滅びたわけです)を鑑賞する良いガイドブックだと思います。北の果てに広大な廃墟群がある……なかなか行けないけどイイなあ
概要
炭鉱は、激しくも美しい忘れ難き遺産である。日本の経済成長を地の底から支えた北海道空知管内の炭鉱の歴史と現在を、炭鉱に生きた人々の証言を交えて紹介。管内の主な施設・温泉などの一覧表も併載。