知床が7月に世界自然遺産に登録される見通だそうで、書店に行っても知床の本が目立つ。だけど、どれもガイドブックか写真集で、中身があるのがないんだよねえ。この本が、知床の姿を伝える唯一まじめな本じゃないだろうか。
知床が抱える様々な課題、魅力、さらに北方領土やサハリンなどの関係まで、生き生きと描かれ、読んでいくうちに世界遺産の意義、開発と保護、エコツアーなど色々と考えさせられる。
今、知床を知るための確かな1冊おすすめ度
★★★★★
北海道に住んでいても、東の端に位置する知床にはなかなか行くことはない。この本を読む前は、「知床旅情」、流氷、クマ、シカ、オオワシ、シマフクロウ、タラ、サケ、マスなどと、思い浮かぶくらいだった。
数年前から、知床の世界自然遺産への登録の運動が始まった。そして、今年、登録はほば確実になったと報道された。「生態系(流氷が接岸する世界南端の地で、海と川と森がいったいとなった独特な生態系)」と「生物多様性(オオワシやシマフクロウなど世界的に貴重な絶滅危惧種が生息する野生生物の宝庫)」が評価されたという。
「知床半島は、流氷漬けとなっていた。北半球の南限であるこの流氷こそが、知床の知床たらしめている特異な存在だ。」で始まるこの本は、私を新しい知床に導いてくれた。
この流氷が全て知床の源に位置し、知床を育んでいる。その流氷がどうやって出来るのかを探るためにオホーツク海を駆けめぐる若土教授の話は、どきどきするくらいスリリングだし、サハリン、カムチャッカとオホーツク海を巡り、やがて流氷のふるさとシホテアリンにたどり着く話には、すばらしい知床は、世界につながり、世界の恵みをうけて成立しているのだという悠久の時さえ感じてしまう。
この本は、とてもさまざまな事が盛り込まれている。
知床に惹かれてやって来た人達の話。例えば、写真家の星野道夫、竹田津実、岡田昇。
知床の自然の魅力やアウトドア(流氷ウオーク、半島一周シーカヤックなど)。
この1冊で知床が全てわかると言えるくらい盛りだくさんだ(フォーラムでの倉本聰や高橋恵子の講演録まで出ている)し、それなのにとても読みやすい。。それは、この本がもともと、この1年、知床を書き続けた新聞記事をもとにしているからかもしれない。
それと、たっぷり出てくる写真。知床の魅力を余すことなく写し出している。
知床を知るための確かな1冊とお勧めできる。
概要
アイヌ語のシリエトク(地の果てるところ、岬などの意味)が由来の知床は、森にはヒグマ、エゾシカ、キタキツネなどが歩き、海にはクジラ、シャチ、トド、あざらしなどが泳ぎます。そして、川にはサケ、マスが群れをなして溯上する、まさに国内最後の楽園といえるでしょう。知床の自然、人々、北方領土、極東ロシアの世界自然遺産まで足をのばし、自然環境保護はもちろん、地球温暖化問題にまで踏み込んだ貴重なルポルタージュ。
知床を扱った本はこれまでにもたくさんありましたが、単に知床という一地域にとどまらず、これほどグローバルな視点から知床をとらえた本は初めてです。カラー写真を200点近く収録。見て、読んで、知床の魅力をぜひこの一冊でお確かめください。
内容(「BOOK」データベースより)
読売新聞北海道支社はいち早く注目し、知床の前線基地からオホーツク海・北方領土・ロシアまでを徹底取材。知床“オホーツク回廊”の海と森をめぐる画期的な渾身のルポルタージュ。
内容(「MARC」データベースより)
世界自然遺産に推薦された北海道・知床。前線基地からオホーツク海、北方領土、ロシアまでを徹底取材。知床「オホーツク回廊」の海と森をめぐる画期的な渾身のルポルタージュ。『読売新聞』連載を単行本化。