「ガイドブック」ではない一冊おすすめ度
★★★★☆
業界の中でも鉄道を対象にする方々には何やら新しい肩書きを作る人が多いとみえて、「レイルウェイ・ライター」の次は「フォトライター」だそうだ(笑)
その「フォトライター」たる著者が「一冊まとめてしまった」という感のある本。紀行文(と写真)がメインで、各記事の後にデータ類が抄録してあるという体裁。「ガイドブック」として見たら本質を見誤ることになるし、かと言って逆に文章を読むだけで自分が旅している気分にさせてくれる宮脇俊三氏の著作などとも違う。強いて言うなら種村直樹氏(って「レイルウェイ・ライター」なわけだが)が女性だったら?……という印象を受けた。
細かいことだが編集者出身でカメラも操れるという人の割には「?」の付く箇所が散見され(「……から見る普通列車の走行」とキャプションがある小さい写真が、夕刻に開放で撮ったもんだから横に走る線が通過して行った列車だと分からない有様になっている、など)、更に「駅弁の味覚」という見出しのページの半分以上が駅弁ではないアイスクリームや沿線名物になっているのが目に付いてしまい、☆4.4で四捨五入して4つというところ。
丹念な取材に好感おすすめ度
★★★★★
女性による鉄道の旅本。これだけでも珍しいのではないだろうか?
こういった本はともすると鉄チャンといわれる鉄道マニアにしか手に取られないのかもしれないが、それは非常に惜しいとおもうほど、旅心を刺激してくれるいい本である。
筆者は自らのことを「フォトライター」という。いいえて妙な、でも彼女にはぴったりくる肩書き。「この職業はセンスや感性よりも肉体労働といったほうがしっくり来る」と本人がいうとおり、北海道の在来線全部をのり、自らおもい機材を担いで写真を撮り、駅弁を食べている。時には一気に2個平らげ、トイレでも顔を洗えるタフさをもった彼女のとる写真、とくにほかの旅人のスナップは、彼女だから切りとれる自然なものがいっぱいです。もちろん、文章も旅情たっぷり!で楽しめます。
いつか、北海道を列車で回ってみたいとおもう方はぜひご一読を。情報も細かくチェックできますよ。
概要
函館本線、宗谷本線など北海道内のJR各線とふるさと銀河線の計15の鉄道の旅ガイド
内容(「MARC」データベースより)
北海道の全15路線を旅した記録。出会った人、沿線を彩る草花、車窓を流れる風景などの写真と詳細なデータが満載。読むだけでも楽しい、列車旅行の魅力を伝えた1冊。季節臨時列車・関連きっぷ情報は2001年6月現在。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
矢野 直美
北海道札幌市生まれ。さっぽろタウン情報編集部を経て、1990年からフリーに。「旅」「遊び」「食」などを主なテーマに取材・執筆活動を行う。98年から写真撮影にも取り組み、01年6月、クリエイトフォトギャラリーで個展を開催。「旅」「町の風景」をテーマに撮影活動を進めている